自分が得た感覚を、言葉にする作業ができないと、遠回りをすることが多いようです。まったく同じことが起こるわけではないでしょうが、言葉にしておくと、その言葉が活きてくることがあります。言葉にする過程で、ある種の一般化する機能が働くのでしょう。

感覚が言葉になると、その時の感覚だけでなくて、もっと別のケースにも応用できるようになっています。感覚のままでは、消えてしまったものが意味のあるものになるのです。言葉にすることによって、ある感覚作用の過程が意識できるようになるかもしれません。

言語化が適切ならば、物事は明確になっていきます。言葉にしようと意識することによって、物事が客観視できるようになってくることでしょう。そうすればコミュニケーションがスムーズに進みます。言語化の訓練は、ビジネス人にとっても不可欠なことです。

  

ビジネス人がある一定年齢になると、管理部門の仕事を始めることは別にめずらしいことではありません。最近は20代後半にリーダー格になる人もいます。組織にはリーダーが必要です。しかし、そう簡単にリーダーにはなれません。向いてない人がいます。

相談があった時、どうやってチェックするのか聞かれましたので、一番簡単な方法をお教えしました。まず、必要事項をホワイトボードに書きながら、丁寧に説明してみること。それを聞いた本人たちに、簡潔な文書にして提出するように言ってみてください…と。

複数の人に試してみると、こんなに個人差があるのかと驚くことがあります。読み書き能力がないと、リーダーになるのは極めて不利です。ビジネスの伝達が、かなりの部分、文章を通じてなされるのはお気づきでしょう。基礎がないと、リーダーは無理なのです。

  

人間は言葉を使っていますが、たいていの行動は、なんとなくなされています。いちいち何かをするときに言葉にしたり記述したりしていません。それが普通でしょう。だから、時には言葉にしておくのも、よいかもしれません。そうすると、驚くことがあります。

何かを行う前に、自分の予測を記録に残しておくと、実際に起こったことが、全く予測と違うことに驚くのです。予測というのは、求められなければ、特に意識しないままに終わってしまいます。いわゆる目標設定をしないで、なんとなく実行するのです。

すべてに目標を設定して、記録していったら、それは疲れてしまうでしょう。しかし、これは大切だというときには、記録に残しておいたほうが良いかもしれません。自分の思い込みが、いかに甘いかを知るはずです。ときに検証は、変革を起こす契機になります。

  

目標管理が大切だと改めて感じたという話を聞きました。真面目な勉強家が、マネジメントの本をいくつか読んでみたようです。本を読みながら、マネジメントにおいて重要なのは、目標を設定して、それを達成するための目標管理だと痛感したとのこと。

何で目標が大切なのでしょうか。目標とは、どんな性格なのか、そのあたりから見えて来るものがあるでしょう。目標とは客観基準で示すものです。客観水準を示すことで、目標が達成できたのか、できなかったのかがわかります。明確性が大切なのです。

目標という概念が出来たから、マネジメントが成立したとも言えます。目的と手段が、従来からの発想でした。科学的な思考が生まれて、客観的、合理的な判断を意識するようになります。科学的な思考を導入することによって、マネジメントが成立したのです。

  

イタリア・ルネサンスの時代には、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロがいて、芸術の歴史の中でも、ある種の究極的な時代でした。彼らが、絵や彫刻、建築など、一つの分野だけでなく、様々な分野で活躍したのはご存じのとおりです。

このころから、工房で芸術を身につけるべきか、アカデミーで指導を受けるべきかという、二つの考え方があったとのこと。ダ・ヴィンチは、アカデミーでの指導が正しいという立場でした。学問と同様に、知的に、言葉で伝えるべきだという考えだったようです。

アカデミー方式では、手取り足取りではなく、考え方や、実践の方法、あるいはコツを教えることになります。ビジネスでも、言葉で教えることを意識しないと、スピードの速い時代には、うまくいきません。知識の時代、言葉の時代がやってきたといえるでしょう。

  

  

チャットボットの導入コストが、劇的に下がっています。かつては1,000万円を超えていたこともありましたが、今や10万円を下回るコストで利用できるようになってきました。もし、お客様対応をする部門があったなら、使わない手はないでしょう。

しかし導入して成功している事例は、少数派のように思います。技術的な進歩があるのに、不思議な気もしますが、問題は技術ではありません。チャットボットに記憶させるデータのほうが問題です。必要情報が記述されていなかったら、AIは対応しません。

マニュアルは、標準となる手続きを記述するものです。「こうすれば、こうなる」ということ、「こうするのが良いです」ということ、これらを示さなくてはいけません。様々な角度から聞かれたときに、対応できる記述がないと、十分な回答が出せないのです。

  

マニュアルを電子化するのは、もはや当たり前のようになってきました。作成した文書で操作や業務を確認することになります。この時、電子媒体を使うということです。しかし場合によっては、電子媒体ではなくて、紙のマニュアルを使うこともあります。

しかし電子媒体で使うにしろ、紙で使うにしろ、いまや手書きのものは、ごくまれになってきました。デジタル入力された文書があるはずです。この文書の出来具合が問題になってきています。必要なデータを入力すると、チャットボットとして使えるからです。

電子化したマニュアルを、データとしてチャットボットに記憶させて、さて十分な対応をしてくれるでしょうか。実験してみると、マニュアルの質が見えてきます。ほとんどが、そのままではうまくいきません。マニュアルを検証する新たな方法とも言えます。

  

仮説を作るときに、ある種のプロセスがあります。「仮説→実行→検証」という流れです。まずは頭で考えて、実行できる形にしたものを、実践して、その反応から仮説の正しさを評価すること。より良いものへと修正していく仕組みと言ってよいでしょう。

仮説ですから、正しいとは言い切れません。失敗のリスクも低くないでしょう。そうなると、小さく始めるしかありません。ささやかで着実な実行が重要です。このとき、検証が大切になります。検証とは、どうすることか? 測定して比較することです。

あるべき姿と比較するには、指標が必要になります。定量化したり、水準到達を判定する測定方法と基準が必要です。しかし絶対的な判定方法や基準がないので、間違えます。それでも測定し続けるしかありません。この試行錯誤が、仮説を成功に導く鍵になります。

ビジネスにおいて、大きな変化の一つが、徐々に明らかになっています。従来よりも、一人の力の影響が大きくなっているということです。圧倒的なアイデアがあれば、それを実現できる可能性が大きくなりました。アイデアを評価できるのか、それが問題です。

組織で多数決にかけたアイデアは、しばしば平均的なものになって、大きな成功をおさめることはまれでしょう。多数のアイデアの中から、圧倒的な成果を上げるのは、尖がっているものと、相場が決まっています。それを組織が採用できるかどうかが問題です。

たいてい新鮮なアイデアというものは、少人数の集団や、個人から出てきます。それを促進して、いいものを見出せる組織が強い組織でしょう。アイデアを歓迎し、いいものが採用できる仕組みが作れるかどうか、これが組織の基礎力というべきものだと思います。

  

目的と目標は違うものです。目的には、価値観が入ります。「なぜそれをするのか」という問いに対する答えが、目的と言えるでしょう。個人も組織も社会的存在だからこそ、社会から承認される行動指針が必要です。それはいいねと、思ってもらえないと困ります。

とはいえ最初から、そんな話はできそうにありません。まずは仕事が継続できるように、おかしなことだけはしないようにして、収益を上げていきます。そこから始めて、段々、社会から承認されるように、その方向に向かっていく。それが自然な流れでしょう。

かつてピーター・ドラッカーが一番大切な質問をあげていました。「あなたは、どんな存在だと、人々から記憶されたいのか」というものです。今後の指針を考えるときに、役に立つ質問でしょう。あるべき姿を、どう描くのか、この質問がヒントになりそうです。